目覚めた時、拓巳の腕が私に絡みついていた。

決して離さないという様にしっかりと…
卵を温めるようにふんわりと…
大切なものを抱くように愛しげに…

幸せだと思った。

だけど…拓巳は私を愛しているわけじゃない。
陽歌を想う気持ちに潰れそうな心を支えたかっただけ。

一夜だけの事…

それを望んだのは私…

それなのに目が覚めた拓巳と視線を交わすのが怖かった。