ケータイ小説 野いちご

【中編】ベストフレンド

友達であるために
7.胸騒ぎ Side拓巳



「亜里沙さんは妊娠しているんですよ」

思いがけない事実。

山崎さんの言葉を正確に理解するまで暫く時間を要した。

ようやく理解できた後も、なんと答えて良いか解らず声も出なかった。

俺の動揺の仕方といったら相当なものだった。

動揺を鎮めようと銜えた新しい煙草に火をつけようとしても、指が震えてライターがまったくいう事を利かない。

挙句の果てにようやく火の付いた煙草に思い切りむせ返って取り落とし、手の甲に火傷を作ってしまった。


俺の子どもだって?

確かに状況から言ってもそうとしか考えられない。

亜里沙が俺以外の男と関係を持つなんて、先ず考えられないのだから…。

でもあの夜から1ヶ月余り…。って事は今何ヶ月なんだ?

普通こんなに早く妊娠って判るのか?

混乱する頭で必死に纏めていた考えは、気付かないうちに声に出ていたらしい。

このときの事は俺の人生で抹消してしまいたい記憶トップ3の中に入る人生最大の汚点だ。



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