その後の授業は、すべて上の空。

 右から入っても左から抜けるみたいなことを聞いたことはあったが今は右からも入らない感じ。

 教室の窓を少しだけ開ければ冷たい風が入ってきた。

 考えれば考えるほど火照る頬を撫でるかのように冷やしていく。

「……………舞希ちゃん?」

 振り返るとそこには不思議そうな顔をした優衣が立っていた。

「なに?」

 ちょうどよく冷やされた頬を触りながら近くにあった椅子に座る。

「あのね?…今日何かあったのかなって……。
その……。いつもの舞希ちゃんじゃないから…」

 優衣は心配そうな面持ちであたしを見つめている。

「はいはいはいっ!優衣ーっ!
それ、あたしも思った!舞希、何かあったんでしょ?」

 元気よく二人分の椅子を持ちあたしの前に来る梨海。

 その椅子をあたしと向かい合うようにして置き、優衣と梨海は座りまじまじとあたしを見つめる。

「舞希〜!白状してくれるよね?」

 ニヤニヤとした笑みを浮かべる梨海は、なんであたしがこうなったか分かっているようだ。