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 トントントンとリビングに包丁とまな板がぶつかる音が響く中、ガチャっと朔兄の部屋が開き、二人が出てきた。

「舞希〜。今日啓輔泊まるからね」

「はーい! ……ってえぇっ!?」

 泊まるってココに? なんでまたここに泊まることになっちゃったんだろ。

 ってことは布団……あったかな?っていうか、どこで寝るんだろ、岩佐先輩。

「……悪いな、相川。 朔真さんには逆らえねえんだ」

 あたしの近くでそっと呟いた岩佐先輩は申し訳なさそうな表情をしている。

 そういうことね。 だったら、あたしにも考えがあるんだから。

「朔兄!」

「ん?」

「お風呂やってくれるよね?」

「え? 俺風呂掃除が一番嫌いだって知――」

「え?やってくれないの?やってくれるよね? やってくれないなら……今日朔兄のご飯抜きだから。 あーあ。せっかく朔兄が好きな唐揚げなのに。 あたし、一生懸命和食勉強したんだよ?それを朔兄は食べたくないの?」

「……分かったよ! やればいいんだろっ」

 自棄になった朔兄はブツブツ文句を言いながらお風呂場に向かった。