重い瞼を開けると見慣れた景色が広がっていた。小さくため息をつきながら寝返り。
「……ん」
もうちょっと寝ようかな、って思ったけどなんだか頭が重い。起き上がってみると頭がクラクラする。
……あれ?そういえば、何で自分の部屋にいるの?
岩佐先輩に連れられて屋上に行って……泣いちゃったんだよね、あたし。それで、そのままあたしどうしたんだっけ? ……もしかして、寝ちゃった?
「……はぁ」
思わずため息をついた、と同時に喉が乾いていることに気付いた。
ふらふらする足取りで部屋を出てリビングへと続く、長いとも短いとも言えない廊下を歩く。
リビングのドアをガチャリと引くとそれがいつもより重く感じた。
「あっ……舞希起きた?」
「……うん、朔兄お水ある?」
「冷蔵庫入ってると思うよ」
冷蔵庫からペットボトルを取出し振り返った。
「ねえ、朔兄あた――っ?!!!」
ペットボトルの蓋を開けていた手を止め、朔兄の前に座る人を凝視。
対になっている焦げ茶色でアジアン風のソファーに座る朔兄の前には――
「な、なんでっ?!」
――振り返ってあたしを見る岩佐先輩がいた