ケータイ小説 野いちご

ぶたさん

ぶたさん
しあわせなおわり

 うさぎさんもまた、夢を叶える直前の位置にいました。 世界一を決めるアスリートの祭典に、代表選手として登録されていたのです。 まさに正念場といったうさぎさん。 そしてそれは、ぶたさんが夢にまで見た理想の光景でもありました。

 ぶたさんは恐る恐るうさぎさんに声をかけました。 嬉しい事に、うさぎさんはぶたさんの事を覚えていてくれました。 世界大会の直前だというのに、昔話に花を咲かせる二人。 うさぎさんは、あの頃と何も変わっていません。 あの頃と同じように前を向き、高い壁を乗り越えようとしているうさぎさん。 ぶたさんは今までの長い時間を思い出し、同時になんだか報われたような気持ちになりました。

 ぶたさんは、自分の今に至る経緯と、うさぎさんの力になりたい旨を、自分のうさぎさんへの気持ちはうまく取り除いた上で伝えます。

 そう、これが下心だと知られてはいけない。 下心だと知られれば、気を使わせてしまうかもしれない。 あくまでも、うさぎさんのサポートがしたいだけなのだ。 見返りなどいらない。 見返りなどいらない。 自分に何度もそう言い聞かせながら、ぶたさんは喋り続けました。

 一通り聞き終えたうさぎさんはパァっと表情を変え、何度もお礼を言ってくれました。 その表情が本当に嬉しそうで、ぶたさんは、これ以上ないくらいの幸せな気持ちに包まれていきました。

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