―…時は朱雀帝の御代


左大臣に次いで権力を持つ右大臣のお家に、御年十七歳の姫君がいらっしゃいました。

その姫君のご容貌たるや、まるでお人形のように整っていらっしゃいます。

その姫君は、十五歳の時に裳着(女子の成人式)をお済ませになりましたが、帝の二の皇子(次男)が東宮(皇太子)にお着きになるのを待って入内(内裏に妃として入ること)なさいます。

東宮に入内なさる日まで、あとひと月と少しございます。