とぼとぼと力なく歩く沙良を、憂は少し前を歩きながら引っ張った。



沙良と手を繋いだのは、いつ以来だっただろうか。



こんなにも、小さい手だっただろうか。



沙良の手はいつも温かかったのに、いつのまに こんなに冷たくなってしまったのだろう。



「…沙良。」



「…ん?」



「分かってるんだ…。
答え…早く出さねぇと、お前が苦しむだけだって…。」



「………………。」



「けど…答えを出せば、兄貴を苦しめることになる…。」



「…うん……。」



「俺は沙良のこと好きだけど、兄貴のことも大切なんだ。」



「…分かってる……。」



「マジで…どうすればいいのか分かんねぇ…。」



そう言って、憂はその場に崩おれた。