ケータイ小説 野いちご

オレンジの空は今も

事故

それから程なくして、冬が訪れた。


乾いた風が白い空に渦を巻き、足元まで降りてきてはブーツに絡まって、歩道の向こうへ消えていく。


ショーウィンドーはすっかり赤と緑に彩られ、アーケードに立ち並ぶ木々が、落ちた葉の替わりにシャンパンゴールドの灯りを身につけていた。


クリスマス・イブを明日に控えた街並みは、冷たい空気を感じさせないほど華やかだ。

色とりどりの電飾と、寄り添い歩くカップルの笑顔、母親に手をひかれよちよちと歩く子供のボアブーツ。


石畳の隅にちょこんと立ったピンクに光るサンタクロース。

ホテルの玄関に立てられたブルーに点滅する大きなクリスマスツリー。


街に溢れるそのどれもが、灯りに滲む空気の中で、ソーダの泡のように揺れている。






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