今日から新学期。俺は、5年生になった。


カバンに今日回収の通信簿と雑巾2枚を突っ込む。


リビングで朝食を食べ終わり、のんびりしていると、


「京。今日は寄り道しないでちゃんと学校行きんしゃいよ?」


と、母さんに呆れ顔で言われた。


……どうやら、たまに学校行かんで遊んどったんが、バレちょるらしい。


「バカだねお前は。通信簿に欠席日数も遅刻日数も書かれちょーに」


向かい側に座る律兄が牛乳を飲みながら笑っている。


「何だ京。早いな」


親父がまだ眠そうな顔をして、リビングに顔を出した。


「うん……まぁ……」


親父とは少しずつだけど、前より話すようになった。


俺には6つ離れた姉ちゃんがいて、春から高校2年生。直(なお)という名前で、生まれつき腎臓が弱い。


手術が成功しても退院させない親父に不満を持っていた俺は、最近まで全くしゃべらんかったし、家族とはあんまり仲がよくなかった。


だけど退院させないのはまだ直姉が100%治ってないらしく、せめて体力をもう少し回復させたいという親の気持ちからだと知った。


気付かなかったらきっと、俺は一生家族を憎んどったと思う。