昨日、京は綾が流した涙をずっと左手で拭いてくれた。右手はずっと、綾の手を握ってくれていた。
ふたりとも無言だったけど、綾にとっては決して居心地の悪いものではなかった。
その後はやっぱり手を繋いだまま、京は家まで送ってくれて何も言わず微笑んで帰っていった。
きっと京は蛍が理由で泣いたわけじゃないって気付いたんだ。
京が好き。
まさか引越してこんなに早くあっさり恋に落ちるなんて、予想してなかった。
顔が火照る。初恋なんだ。
京を考えると胸が苦しくて、繋いだ手を見ると体が熱くなる。
綾バカみたい……。
そう思うけど、京に逢いたい。
京に逢える学校に行くために、用意を急いだ。