―――先輩。

本当に、本当に

あたしは、先輩が

大好きでした。
















「まだかなぁ…裕也」


「あ…。夏実、言ってる間に櫻井君来たよ」


「え?あっ!ホントだ!じゃあバイバイ、優!」


すると林夏実は彼氏…もとい、櫻井裕也のトコに駆けていった。

「夏実はいいなぁ…」

廊下側の窓にもたれて、二人を見送ったあたしは一人、溜め息をついて、鞄を席に取りに行こうとした。

…すると窓からにゅっ、と手が伸びてきて、あたしの頭を後ろからわしづかみにした。


「うわっ……!?」

「なーに一人で溜め息ついてんの?白井ー」

「わ、渡辺先輩…っ!?」

手の主は、渡辺卓也。
3年生で、あたしたちの先輩。

「悩み事ー?」

「せっ…先輩には関係ありません…っ!」

「なにさーつれないのー…」


突然こういう事をされると、正直困る。
だって、あたしは先輩が…好きなのに。

でも、先輩には…


「…彼女さんのトコ、行かないでいいんですか」

「んー?あー…真由美は今日友達と帰るんだってさ。だから俺、今日一人なの。だから白井と帰りたくてさー」