「おめでとう、秋~!」

パンパン、とクラッカーの音が鳴り響き、照明の落ちた薄暗い店内に紙吹雪が舞った。

恒例の4人での誕生パーティ。

灼熱の季節が過ぎ去り、木枯らしが吹き始めるこの季節が、私の生まれた日。

「ありがとう、みんな!」

春、夏、冬、3人の顔を見渡し、笑顔を向ける。

テーブルの上には、お店からのサービスの小さなケーキと、豪華なイタリア料理と、ちょっと奮発したシャンパンのボトル。

「ねぇ……こんなに高そうなの、大丈夫?」

いくら営業マンとはいえ、入社2年目の彼らのお給料は、私と大して変わらないはずで。

心配になってお店のオーナーには聞こえないよう、そっと訊ねてみた。

「全然問題ねぇって! なんたって秋の誕生日だもん」

夏が元気良くそう答えた。

「そうそう、私の大事な秋の誕生日だもん」

続けて春もそう言う。そのすぐ後で。

「なんて、実はうまい酒が飲みたかっただけだったりして」

クスリと笑いながら冬が言うと、両脇から同時にどつかれた。

「余計なことは言うな!」

「馬鹿冬!」

そんなじゃれ合う3人の姿が楽しくて、私はクスクスと笑う。

入社式で席が隣同士になって以来、当然のようにこうして一緒に過ごしてきた私たち。

あまり人付き合いの得意ではない私が、勇気を振り絞って一番最初に声をかけた春と同じ部署になれて、本当に良かった。

美人なのに豪快に笑う春は、みんなから慕われる私の憧れ。

たまに元気が空回りする夏も、ちゃんと周りを見て場を盛り上げようとしてくれる素敵な人。

そして、元気すぎる2人に置いていかれそうなトロい私の傍に、さりげなくいてくれる、冬……。