でも、疾風一筋のあたしにも、ひとつだけ気になることがある。


それは……。

それはね――……?








「えー!今日もダメなの?」

少しだけお酒が入ったあたしは、ほんのりと赤く染めた頬をぶぅっと膨らませて、隣にいる疾風を見上げる。


金曜日の夜はまだまだこれから。


あたしは、いつものように疾風におねだりしたんだ。


『疾風の家に行きたい』って。


なのに疾風。

いつもお決まりのセリフしか言わない。


『家汚いから。もう少し整理したらね』


そればっかり。


疾風があたしと付き合い始めたばかりの夏、独り暮らしを始めてからもう半年も経つのに……。