すやすやと、彼女は健やかな寝顔を僕に向ける。

僕はそっと彼女のまぶたに触れた。


「目玉のおやじが欲しい」

そう言ったら彼女は笑った。

欲しいんだ。君の目玉のおやじ。君のだからおやじではないのかもしれないね。

白目がどこか青みがかって、真っ黒な瞳を持つこの目玉。

ねえ、この目で君はいったい何を見てるの?

僕を見る君の目は、いつも僕を通り越してどこか遠くを見てる。

君の目に見つめられると、僕は自分がとても汚い人間のような気さえする。

そんな目で僕を見ないで。

でも君が他の奴を見るのも嫌だ。

わがままだね。


「何、してるの?」

君はまどろんだ目で僕を見る。

笑った僕が君の目に映る。


この、世界を拒絶した目が1番好きだ。





目玉のおやじ。