「ったくもう!なんで突然いなくなっちゃうかなあ」

月曜日、HRが始まる前にランが私の席にやってきた。

「ごめん…」

「まあいいけどさ。あんな雑誌読んだらアヤだって平常心じゃいられないもんね。それにあたしが読ませたんだから、元はと言えば私が悪いんだし」

サクラ貝のような爪を何度も磨きながらランが肩をすくめる。

「でさ、どう思った?」

「どうって…そりゃあドキドキしたよ」

私はランに見透かされはしないかと気が気でなかった。

視線が定まらず、落ち着かない。

「それだけじゃないんじゃない?」

うつむいた私の視界に無理やり入り込もうとするかのように、ランはつくえに顔をつけた姿勢でこちらを見る。

「な、なんで??」

声が裏返ってしまった。

まさか、土曜日のことランが知ってるわけないよね。