「サクラちゃん――! サクラちゃああん――!」

図書室に駆け込んだ私たちが見たもの。

それは、置き去りにされたサクラちゃんのめがね。


それと――、


光の中から私たちを見据えるギリシア風の男の姿でした。

男は黄金色に輝きながら、私たちを、ジッと見つめていました。


私には、なぜか、


この男が、「アミダさま」であることが分かったのです。


「いやぁぁぁあああああ!!!!!」


カエデちゃんが絶叫を上げました。

彼女の恐怖はすぐに私たち二人にも伝播し――、

三人は叫び、慌て、手足をもつれさせながら、

その場から脱兎の如くに逃げ出しました。


「いやぁあああ、来ないでっ! 来ないでえええ!!!!」


カエデちゃんは半狂乱になりながら叫んでいました。

私たちは彼女を引っ張って女子トイレの個室に駆け込み、カギをかけてから彼女の口をふさぎました。


「静かに! アミダさまに見つかっちゃう!」