2月2日

朝、目が覚めても
何もしたくない

学校を休んでもう10日目だ
いったいこの家はどうなって
しまうんだろう

沙知は友達の家に行ったきり
帰って来なくなった

さっき台所に行ったけど
食べ物らしきものは何もない

あの日以来
母さんは僕の食うものは
まるで心配しなくなった

完全に見放されたらしい

まあ、当然かもしれない

心のどこかじゃ
何とかしてくれるんじゃないかと
期待してる自分も
情けないな

夕方、夢を見た

小さい頃の夢だった
何年ぶりだろう

ホコリのかぶった
アルバムを開いて見た
ばあちゃんを囲んで
みんなが笑っていた

懐かしくて
写真の中に引き込まれそうだった

でも、もう戻れない
誰か、助けてくれよ!

どんどん落ちていく
自分にも腹が立った

何とかしないと・・
僕は焦る気持ちで
いっぱいだった


2月23日

少し遠いけど
時給の高いバイトを見つけた

学校から1時間はかかる
バイクの免許を取れば
楽に通える

バイトに専念して
とにかく金を貯めなきゃ

今日はバイトの初日だった

覚えることばかりで
クタクタになった

でも、店の人達は
けっこういい人ばかりだった

「おまえ受験生なのに
えらいな!」
店長もほめてくれた

みんな、僕のことを
まともに見てくれる
そのせいか
頑張ってみようかと思えた

1ヶ月で10万くらいは
稼げそうだ

中古のバイクを見つけて
専門学校を目指すぞ!

ありえないくらい
前向きになれた

楽器店のコンクールにも
応募してみようと思う

ちょっといい詩を
思いついているんだ
けっこう運が向いて来たりして

そうだ!
最初の給料で
ばあちゃんにこづかいでも
あげようかな