眠るベッドの横に、誰かが近付いてくる気配がした。
イストだろうか。
そうカイは思ったが、瞼が重く、誰なのか確認が出来ない。

「……全く。君に似て、この子は本当に無茶をする」

「心外だな。私は無茶をした覚えはないぞ」

聞き覚えがあるどころか、絶対に忘れることはない大切な育ての両親の声に、カイは驚く。

「それは貴女に、というより私達にも似たのかも……ねぇ?」

「同じ魂だからな。似ることはある。だが、俺は無茶をしたことはない」

優しそうな薄い色素の群青色の髪の男の声と、機嫌が悪そうな空のように青い髪の男の低い声が更に聞こえた。

「……俺の血筋は皆、無茶をするのか」

更に呆れた声音で、赤紫色の髪をした青年が小さく呟く。
何の集まりだろうか、と思いながら、カイはそっと目を開けようと試みるが出来ない。なのに、髪の色が分かるのは何故だろう。

(……先生と司祭様もいるのに話せないって、辛すぎるよ……)

口も動かないことを残念に思いながら、カイは心の中で呟く。

「……まぁ、何があっても私達がいる。だから、カイ。お前は、お前の決めた道を進めよ。ちゃんと見てるからな」

育ての母が不敵な笑みを浮かべ、カイの金色が混ざった赤い髪に触れる。