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年を明けた3学期。
この時期、まだ大学受験を控えている高校3年生は、講習を受けるために登校する。
私、菊月春花は、無事に大学への進学が決まったので、登校する必要はないのだけれど、“ある目的”のために、登校していた。
「おーい、今からバスケするぞー!」
「今日のチーム分け、どうする?」
教室の外から中庭を眺めると、何人かの男子生徒がなにやら楽しそうにワイワイとにぎわっている。
すると、そこにひとりの男の子の姿が見えた。
「新、来るの遅ぇよ!」
「悪い、悪い!」
遅れてやってきたのは、葛葉新くんだ。
私が登校している目的は、“葛葉くんを一目見る”ため。