書状を受けたゲルハルトはすぐ対処に当たった。
書面にあったのはナディアのことだけではない。
フアールで行われる式典にゲルハルトを招待するというものであり、そこに留学中のナディアも連れてきてほしいという旨が記されていたのだ。
「なぜナディア様を? 貢ぎ物と呼んだのはあちらではありませんか」
そもそも国王のゲルハルトを気安く呼びつけるという礼を失した行為の時点でエセルが顔をしかめる。
以前にもフアールはそのように振る舞い、事を荒立てないほうがいいという判断から承諾した。そのせいで増長させたようだ。
「私を蔑みたいのではないかしら」