ナディアの目覚めは夜が明けてから知れ渡った。

 彼女の部屋にわっと押しかけようとした獣人たちは、ベスに叱られて遠慮する羽目になっている。

「まったく、まだ目を覚ましただけで完全に回復したわけじゃないってのに」

「いいのよ、ベス。みんなに心配かけた私が悪いの」

「悪いことなんかなにひとつないよ。むしろあんたはいいことしかしなかった。ありがとうね」

 本来ならばベスにもほかに仕事がある。

 しかし彼女はメイド長の権限を使い、騒ぐ五人のメイドたちからナディアの世話を奪ったのだった。

「ずるいですー! 私たちはナディア様の専属メイドなんですよ!」