「今度はナディア様が倒れたの!?」

 あわあわと騒ぎ出したメイドたちの顔色は、昨日までに比べてかなりよくなっていた。

 これもナディアが徹夜で調合した薬のおかげである。

「お眠りになってからずっと意識が戻らないみたい」

「エセル様は気が緩んだのかもって」

「私たちのために寝ずにお薬を作ってくださったから……」

 五人いるメイドのうち、ふたりは残りの面々よりも症状が軽かったためか元気だった。

 まだ床を出たばかりといっても過言ではない三人に無理をしないよう言い含めた上で、彼女たちは『今度は私たちがナディア様を助けなければ!』と急ぎ足で彼女の部屋へ向かう。