その日は、戻ってきた音羽さんと、夜一緒に寝る事になった。

「なんだか、姉妹みたいで嬉しいわ。」

私と同じ顔をした音羽さんが、布団の上ではしゃいでいる。


「うたさんは、どこから来たの?」

「ああ、林の向こうの貧しい村から。」

「じゃあ、この屋敷を出たら、そこに戻るの?」


私は苦笑いをした。

あの村に戻ったとしたって、家族も誰もいない。

ただ一人だ。

でも、泣いても笑っても、あそこが私の帰る場所。


「……そうだと、思います。」

「そうなの。寂しくなるわ。」

音羽さんは、私の手を握った。

「時々、遊びに来てね。」

「はい。」

「きっとよ。」

「はい、音羽さん。」

私達は、本当の姉妹が離れ離れになるかのように、別れの夜を惜しんだ。