ぶつかった人に謝ろうとして顔をあげると、そこにはとっても、不機嫌そうな顔をした裕翔さんがいた。
「え、この人って、…あのヤク……」
「桜十葉。俺がいるのに他の男と浮気中?イケナイ子だね」
そう言って裕翔さんは私の腕を強く引き寄せて、私を後ろから抱きしめた。
でも、……真陽くんの様子がなんだかおかしい。ちょっと顔が青くなってないかな?
「お、おとちゃん!きょ、今日はありがと!じゃあまた明日!」
真陽くんはすごく挙動不審になって、すばやく校門へ抜け出して行ってしまった。
もう、何がなんだか、さっぱり分からないよ……。
私に話しかけてきた明梨ちゃんという女の子。真陽くんの突然の挙動不審な様子。
しかしこれが明らかになるのも、そう遠くない未来のことである───。