これまでと変わらない週1回の
勉強会をこなしつつ、年が明けたら
いよいよ受験シーズンに突入
するいうとき、幸太も大学受験が
控えているから、勉強会は中断して
欲しいと言われた。それはそうだ。
寧ろ自分の受験があるにも関わらず
こんなギリギリまで縛り付けて
いたのだ。だから私も素直に
わかったと言うことが出来た。
ただこれから暫く会えなくなるならと
無理を言って“明日館に連れて行って
欲しい”とお願いをした。
幸太は渋々だったであろう、
了承してくれた。勉強会最後の日、
いつもの時間より早く待ち合わせをして
明日館へ向かった。明日館は
最寄りの駅から歩いてすぐの場所に
あった。都心にあるにも関わらず
思っていたより広く、
中庭から見る建物は素晴らしかった。
中にはカフェがあり、一緒にお茶をした。

「ここが幸太の原点なんだね」

「良く覚えてたね」

「幸太が言った事は忘れないよ!
 まだ気持ちは変わらない?」

「変わらないね。久しぶりに来たけどまた
 頑張ろうって思ったよ」

「私も、もっと頑張らなきゃなぁ」

「華ちゃんは充分頑張ってるよ。この3年、
 すこい成績伸びたよね。最初の頃が
 信じられない位」

「ねぇ幸太、絶対に合格するから無事に
 入学出来たら勉強会、再開して欲しい。
 幸太のお陰でここまで成績伸ばす事が
 出来たの。高校入ってからも頑張り
 たいの」

幸太は困った顔をしていた。
でも知ってる、幸太だったら断らない。

「合格したらね」

「約束だよ!絶対合格するから!
 結果が出たら一番に連絡するから!」

これでまた明日から頑張れる