「ｺｳ！」

友人の叫びを無視して、ｺｳはﾌｪﾝｽを越えて、走り出していた。

(どうしてだ)

なぜ走っているのか、ｺｳ自身にもわからなかった。

ﾃﾗの新型ﾌｨｷﾞｭｱ…ﾉｱ二機と黄金の鳥型ﾌｨｷﾞｭｱの奇襲を受けている日本軍の基地。

その最中に向かって、ｺｳは走っていたのだ。




「こんなことが！」

河村は愕然としながらも、すぐに舌打ちすると、ｶﾞﾙを動かした。

「認められるものか！」

格納庫の壁を破壊すると、外に飛び出した黄金の鳥に向かって、ﾐｻｲﾙを撃った。

黄金の鳥は一瞬で、ﾐｻｲﾙを撃ち落とすと、隣の格納庫に突入しょうとした。

「させるか！」

河村はﾐｻｲﾙを撃つと同時に、背中のﾌﾞｰｽﾀｰを点火させると、黄金の鳥の突入点を読み、機体をぶつけた。

「ﾁｯ」

特攻にも似た河村の攻撃に気付き、ﾌｪｰﾝはすぐに上昇しょうとしたが間に合わず、機体のﾊﾞﾗﾝｽを崩してしまった。

「少佐！」

基地内に着地した二機のﾉｱは、手にしていたﾏｼﾝｶﾞﾝをｶﾞﾙに向けた。

「心配するな」

ﾌｪｰﾝはすぐに機体を立て直すと、空に向かって上昇した。

「畜生！一対3かよ」

河村は、格納庫から出たのが、自機しかいないことに気付き、覚悟を決めた。

「しかし！」

河村はすぐさま、ｶﾞﾙの武装を確認した。

「こっちは新型だ」

背中のﾌﾞｰｽﾀｰの下…腰についている銃を掴んだ。

「ﾋﾞｰﾑ兵器か！」

ｱｰｻｰは、ﾉｱの中で叫ぶと、機体を反転させた。

「いつまでも、島国に遅れをとるかよ」

ﾉｱもまたﾏｼﾝｶﾞﾝを、手に取った。

「違うさ」

河村は、にやりと笑った。

「な！」

ｱｰｻｰは、絶句した。

「性能さ」

いつのまにか、間合いを詰めたｶﾞﾙが、至近距離からﾏｼﾝｶﾞﾝをぶっぱなした。

「く、くそ！」

ﾉｱの武装の一部が、吹き飛んだ。

「終わりだ」

河村はもう一度、引き金を弾こうとした。

「確かに、いい性能だ」

「な」

河村は、目を見開いた。

いつのまにか、ｶﾞﾙの後ろに、黄金の鳥が浮かんでいた。