その日、冬子ちゃんのご両親が帰ったあと、両親はきつく私を叱ったわ。

あぁ、そう言えば、えぇっと、まふゆちゃんにとってはおじいちゃんとおばあちゃんね?お元気?
そう…。ご存命なの。
いいえ。気にしないで。

母は気が狂ったように泣きじゃくるし、父は何てことをしてくれたんだって怒鳴ってた。
あんなに激昂する父を見たのはあの日が初めてだったかもしれないわね。
普段は穏やかで、どちらかというと少しオドオドしていて。

とにかく私と母に不自由な暮らしをさせないように必死で。
勤勉っていうことだけが取り柄のような人だった。
ふふ。大人になったらね、その勤勉さが本当に大事なことなんだって分かるんだけどね。

まぁ、それは今はいいとして。
とにかくあんまりにも両親が荒ぶっているものだから、私、そんなにイケナイことをしたのかしら?って、だんだん頭にきちゃって。

「お父さん達だって恋愛して私を産んだくせに!」って言ったら、父がね、「お前は違うだろう!」って。

何が違うの?私がやっていることの何が、あなた達と違うの?
どうして寄ってたかって、冬子ちゃんを愛していることを悪く言うのかしら?

本当に理解ができなくて、リビングを飛び出したわ。
部屋に閉じこもってベッドで毛布を被ってわんわん泣いてた。

泣きながら、冬子ちゃんの腕にあった傷のことを思い出してた。
私のことで冬子ちゃんが自分で作った傷が愛おしくて堪らなかった。

あぁ。私の想いは冬子ちゃんには届いている。
冬子ちゃんの心にも傷を残すことが出来たんだって思うと幸せだったの。
涙なんてスッと引いたわ。