「考えれば考えるほど、あいつの方が優花を幸せにできると思った。怖くなった。俺は優花を守る側の人間じゃなくて、傷つける側の人間だったんだって」




唯くんが私の手を取って、心の内を恥ずかしげもなく吐露していく。




「だから逃げた。優花のためなんだって言い訳して、逃げた。そんで忘れようとした。忘れられると思った」




唯くんは、全然無表情なんかじゃなくて




「…でも、なかなか離れない。この4年間、ずっと優花がここに居座って、離れてくれなかった」




すごく辛そうで、苦しそうで、




「俺、ヒーローなんかじゃない」




今にも泣き出しそうな少年みたいな顔をしていて




「でも優花は、やっぱり優花だけは、俺が守りたい」




それでも私をまっすぐ見る唯くんが、息を吸った。




「好きだ。優花。苦しくなるぐらい、辛くなるぐらい優花が好き」





唯くん





「優花」





唯くん、待って





「もう一回、俺の彼女になって」