「帰るのめんどいなー。今日泊まってこうかなー」


「どぞー」


私は爪をパチパチ切りながら言う。


「いや駄目だろ。断れよ。」


「駄目なの?」


「もうヤダこの子。もうちょっと僕に危機感覚えてよ。」


「すんません。できません。」


「できないんかい。襲ったろか?」


「通報する」


「きゃいん」



CMになって、みね君が私のベッドに頭をもたれさせる。




「ねー」


「んー?」




みね君の適当な呼びかけにリモコンで早送りしながら適当な返事を返すと、

みね君が流し目で私を見た。







「…あと何回告ったら、なびいてくれる?」











不覚にも、

ちょっとドキッとした。








「……な、びかないよ……ずっと…」



私はみね君から目をそらした。



「……そっかー。」












みね君は、


優しすぎる。










私は少しだけ居心地の悪さを感じて、

みね君の隣で伸ばしていた足を縮めて、小さく体育座りをした。