「…」


長嶺君は私の顔を見てかたまっている。




一重だけど大きな目

筋の通った綺麗な鼻と

厚めの唇が印象的な可愛らしい顔




…このイケメン

どっかで…???




私は思い出そうと長嶺君の顔を見ながらゆっくり首をひねった。


長嶺君はおもむろに参考書を閉じて座席表を一瞥すると、

ぽってりとした唇を横に伸ばして人懐っこい笑顔を浮かべた。



「…へぇ。はね……羽根村さんだったんだ。」








『お名前は?』

『え?はね……あばばば、言いません!』

『ふむ。“はね”から始まるんだ?』







「…あーーー!!しつこいナンパ男!!」



私が驚きのあまり人差し指で顔を指さして声をあげると、

ナンパ男が慌ててその手をよけて「ちょ、声でかい!シー」と自分の口元に人差し指を当てた。




「なんで!?」


「なんでって?」


「なんでいるの!?」


「なんでいるのって、そりゃお勉強をしに。」


「うわぁ…最悪だぁ…」


私は頭を抱えた。