――…目立つようなことも、何か大きな経験だって、無くていい。
傍から見たら地味で平凡だろうと、わたしはそういう生活を送ることが出来たら充分だ。
「ごめん杏花(きょうか)、七瀬(ななせ)起こしてきてくれない?」
「あれ、なっちゃん起きてないんだ」
「本当はそのまま放っておいても良いんだけど、今日小テストがあるって騒いでたから」
「あはは、それは行かないとね」
「いつもごめんねー…」
「ううん!大丈夫」
もうすぐ朝の7時。
お母さんが、キッチンで手際よくウインナーと目玉焼きを焼いてくれている中
わたしはリビングから階段を上り二階へと向かった。
階段の途中にある小窓から見える朝日が、一日のやる気を引き出してくれているみたいで、自然と笑顔が溢れる。
――コンコンッ
「なっちゃーん、朝だよー」