エレベーターの中には、当然、真紀だけしか乗っておらず、乗り込んだ時と比べ、やけに広く感じた。



「琢真…」



そうポツリと呟いた真紀は、意外にも、涙を流してはいなかった。

無表情だった。


しかし、決して、目の前で人が死んでいくのに、慣れたわけではない。



【ウィーン…】



相変わらず機械的な音が聞こえる。



真紀は考えた。



《美咲も琢真も、みんな、みんな、死んでしまった。遂に1人ぼっちになってしまった。次は確実に、あたしの番だ。》



真紀は、階数表示をチラリと見た。

そして、目線を扉に戻し、再び考えた。