目が覚めたら病院のベッドの上だった。

なんで病院のベッドに寝てるのか事態がいまいち飲み込めなくてゆっくり起き上がり、自分の着ている薄く土色に汚れた体操服を見て徐々に意識がはっきりとしてきた。

「うわぁ……最悪だ」

落ち込んだ。

高校3年生最後の体育祭。

僕のせいで台無しにしてしまった。

「いててて」

酷く頭痛がする。こけた時に頭を強く打ったせいだと思った。

「あ、起きた!大丈夫かよ?」

制服に着替えた剛と大橋さんが病室に入ってきた。

「大丈夫?」

心配そうに話しかけてくれる大橋さんに首を縦に振った。

「ごめん、鈍臭い……僕のせいでリレー駄目になって」

「いやいや俺がリレーに無理矢理誘って走らせたんだからむしろこっちが悪かったな、ごめん!」

「気にしないで大丈夫よ」

二人の優しさが余計に身に染みる。

気のせいか二人共震えてるように見えた。

ふと窓の外を見たらすっかり外は暗くなっていた。

「あ、ごめん、ありがとう帰っても大丈夫だよ」

慌てて言う僕に

「あー……そうだな目も覚めたし安心したわ。倒れた時に体育祭見に来てた拓郎と同じ中学の森田君だっけ?拓郎の親に早くに連絡してくれたからもうそろそろ来てくれると思うから」

剛が教えてくれた。

酷く頭痛がするから聞き取れない単語もあったがお礼を言った。

「大変、申し訳ありませんでした!」

するとその直後に病室の外から声が聞こえた。

ガチャッと病室の扉が開き血相を変えた両親が入ってきた、その後ろに担任と学年主任の姿も見えた。

「大丈夫なの?!」

「うん」

僕と親とのやり取りにバツが悪そうな顔をした剛と大橋さんは軽く会釈して病室を後にした。