修平君と距離を持ったまま数週間が過ぎた。

ただ、修平君と別れたいとは思ってなく付き合う事に疲れたから休んでいると言うだけだ。

父と母も離婚前に別居してた時は似たような心境だったのだろうかとふと思いギュッと胸が痛くなった。

この日学校では体育祭の出場競技を委員長を中心に話しが進められていた。

二人三脚にムカデ競争。

他に何に立候補しようかなと思ったら上島君が松本君をリレーに誘って黒板に名前を書いた。

嫌がる素振りをしつつも何処か嬉しそうな顔をしてる松本君を見て私も走りたくなった。

「え?嫌なんだけど!」

私が麻央の名前を黒板に書いたら嫌がるも無理矢理参加させた。

「あれ?ねえねえ麻央」

「何よ、リレー走る事になってマジで私不機嫌よ」

「そんな事より松本君の走り方可愛くね?」

「そんな事よりって……確かに!」

「ね、可愛いね」

練習で拓郎君の走る姿がどことなく変で、腕の振り方や必死になる顔に私と麻央は萌えた。

(あれ?あの走り方はあの雨の日に傘をくれた人?)

なんとなくだけどそんな気がした。

確信はないけどきっときっとそうだと思う。

けれどこれは本人に聞かずに居た方がキレイかなと思って聞かない事とした。

(あんなキレイな言葉を口にする人なんだ)

この日から拓郎君の見える世界から出す言葉を聞きたいと思うようになった。

体育祭当日、リレーの予選スタートダッシュして懸命に走る拓郎君の姿が可愛い過ぎて萌えた。

一緒に演舞を見ようとテントで話しかけた時、私の顔を見て拓郎君の顔が赤くなって恥ずかしそうにしてるから萌えて私の鼻血が出そうになった。

演舞が終わり私と麻央は競技が無い間に歩いて色々まわっていた。

「麻央!」

「あ!来てたんだ!」

麻央は声のする方に走って行った。

麻央の彼氏だった。

そして麻央の彼氏の隣には修平が居た。

「おす!」

「……おす」

「会いたかった?」

「う…ん」

私に『会いたかった!』と言わせたい問いかけに変わらないなと思った。

微妙に返事したけど正直私はまだ会いたくなかった。