2年生の冬を迎える頃にはようやく学校の勉強も上手に手を抜くコツを掴み要領よくこなせるようになっていた。

クリスマスが近くと独り身は人肌恋しくなるのか心なしか焦る人も出てくる。

私は特にそんなに恋人が欲しいとか思う事はなく誕生日もクリスマスも別に家で1人で過ごしても良いと思っていた。

「来週お願いね」

「はいはい」

麻央が幹事で来週他校の人と4対4の合コンをする事となった。

あまり行く気がなかったのだが人数合わせとして呼ばれた。

大して乗り気でもないのに失礼じゃないかなと思うが麻央達女性陣からしたら特に問題なく、むしろ男性陣に良い人が居た時にライバルが減って良いらしい。

「それになんだかんだ言って良い人居て恋が始まるかもよ」

「うーん、そうかなぁ」

話しは変わるが最近父が再婚した。

相手の方と交際4年の末の結婚との事だった。

「おめでと」

父から電話での報告に私の返事はたった一言だった。

相手の方と会う話しも出たが勉強が忙しいからと断った。

私にはもう関係ないと思っていたが正直少し嫌な気持ちにはなった。

それもありナーバスな私は恋に対して今はしたくない気持ちになっていた。

合コン場所は大衆居酒屋だった。

相手の方は街中にある高校の人達。

各々がソフトドリンクを頼み乾杯の合図で幹事を始めに自己紹介が始まった。

(周りから見て合コンって思われてるんだろうな…個室が良かったな…)

そんな事を考えてると私の番が来た。

「大橋です」

「名字かよ!」

「気軽に大橋さんって呼んでください」

「どこが気軽だよっ!」

男性からのツッコミにみんなはクスクス笑ったが私は親しくない人から下の名前で呼ばれたくないなと思ったのでそのまま自己紹介を終わらせた。

色々盛り上がったんだろうけど心ここに在らずの私は特に会話をした記憶すらなく終わった。

カラオケに行こうとなった。

(帰りたい…)

麻央にそう合図するも

(付いて来て)

(無理、帰りたい)

(ダメ、まだ帰さない)

野球の監督が選手に送るようなサインのやり取りをシュバババババッと麻央としてると2人の女性に両サイドから腕を掴まれてカラオケに強制連行された。