「もしもし、じいちゃん。たくだけど」

男の子は公衆電話から家に電話をかけてるようだった。

「に、西村さん、帰りはじいちゃん家がここから近いから迎えに来てくれるから」

「え?良いんですか?ありがとうございます」

「って言うかどうしてこの電車に乗ったの?行きたい所とかあった?」

そう聞かれてもどう答えて良いかわからず言葉を必死に探すも思う事と口にする事が中々一致せずに話せずにいた。

「あ、ぼ、僕もどうして後を付けて乗ったんだよって話しだよね、怖がらせてたらごめんね」

「ううん、えっと…特に行きたい所はなかったんだけど…」

私は少しずつ今の家庭事情と私の心境を出会ったばかりの男の子に話し始めた。

父と母が別れた事。

初めは父と弟との3人暮らしも苦ではなかったが長くなるに連れて段々と苦しく辛くなってきた事。

母の元へ行けるとなった時、少し喜んでしまった自分が…そんな自分が嫌だった事。

家も学校も習い事も楽しくなく自分の居場所がないと思えて、考えたら全てが嫌になってどこか別の場所に行きたくなって気がついたらここに来てしまった。

あれ?私いつから家をしんどいと思ったんだろ?

夏休み、塾と合唱団と家と母の所へ行くのが忙しいと思ってた。

家が居場所ではなく移動先となってた時点で、しんどいと思ってたんだなと今気づいた。

ああ、私、無理してたんだ…

「凄い……辛かった…んだ…私…辛かったの」

今まで無理してたんだと気づいた私は初めて会う男の子に弱音を吐き、涙を流し声も上手く出せなく自分でも何を言ってるのか途中わからなくなったがそれでも私の話しを聞いてくれた。