3連休の最終日、私はチョコブラウニーが入った袋を手に持って、護の家のインターホン前に立った。

 ブラウニーはキャンディ包みをするつもりだったけれど、形状が変わったので、巾着包みにして、口を麻ひもで縛った。

 私はゆっくり深呼吸をした。

 インターホンのボタンを押すのに、こんなにドキドキするだなんて!

 護に義理チョコを渡すだけなのに、私の心臓どうしちゃったの!?

 玄関前にこの袋を置き去りにして、このまま帰ってしまいたいぐらい。

 でも、メッセージカードも入れていない。

 誰宛てかも分からないし、そんな不審な食べ物、食べてもらえないかもしれない。

 これは義理チョコ、義理チョコ…

 自分に言い聞かせる。

 それから、私はそうっとインターホンのボタンを押した。