昨日のあれから、護のことで胸がいっぱいになってしまっていた。ドキドキと不安と…

 だから、休み時間に村田君から話しかけられたときには困惑しかなかった。

 今の私には、護のこと以外を考えるキャパは残っていない。

「前に言った『2人で遊びに行かない?』ってヤツ、再来週の日曜日、どうかな?」

「再来週の日曜日って…」

 私はカレンダーを思い出す。

「2月…1…3日??」

「うん、2月13日」

 バレンタインデーの前日だ。

「ええっと…遊びにって、どこに行くの?」

「公園とか」

「公園…って、寒くない!?」

 公園で何するの? キャッチボール? それともバドミントン??

「自販機で温かい飲み物を買って、おしゃべりしようよ」

 はー、なるほど…って、この時期に? カゼひかない??

 寒い公園で、全く親しくもない男子と、すでに冷えてしまった缶紅茶を手に、ベンチに座っておしゃべりする図を思い浮かべる…

 どうしよう、楽しくなさそう。苦行な気すらしてきた。