『いいことがあったんだ』
『突然なによ。めずらしいじゃない。仕事中に連絡くれるなんて。』
『今、休憩中なんだ。』
京子は珍しく平日の昼間に連絡をよこした恋人と話をしていた。

京子の仕事は貿易関係の事務。
宮ノ内グループにある貿易会社で、恋人とはこの会社で出会った。

付き合って5年。
そろそろ将来のことを考えたい年齢。
京子も恋人も子供が好きだ。
年齢を考えるとそろそろ子どもも欲しいと話している。

『どんないいことがあったの?』
京子は屋上で話をしながら思わず微笑む。
きっと今頃、電話の向こうで恋人が嬉しそうに笑っていると想像できるからだ。
『お嬢様がやっと結ばれんだよ。』
『えー!?あの噂の人と?』
『そう!』