悲惨な事件が起きた。

定年退職間近だった遠藤。
何年も適応障害とたたかっていた。

会議室で起きた事件。
精神的なバランスを崩していた遠藤を、よく知る社員たちは懸念していた。
咲もその中の一人だ。
メンタルヘルスのためのストレスチェック結果を見た咲はいち早く遠藤の状態に気づいていた。

営業職は人と関わる仕事。
業務の中にはストレスがたまるような我慢も強いられる。
会社のために感情を押し殺して頭を下げなくてはならない場面もある。

遠藤自身のために定年退職後は雇用の継続はせず、ちゃんと治療をして、豊かな第二の人生を歩んでほしいというのが咲の願いと、遠藤への想いでもあった。