「いつ来ても心癒されるなぁ・・・」
咲の家にはかなり立派な庭園がある。
有名な企業の重役たちの接待にも使われる宮ノ内邸の庭園には池や橋までかかっている。

咲はその中でも季節の花が一面に咲く、花畑が大好きだった。

花畑を見渡せる位置に東屋があり、そこのベンチに真っ先に座る咲。

「上着が必要でしたね。」
季節は秋。
少し肌寒い。
玲はすぐに手にしていた咲のカーディガンを、咲の肩にかけた。

そして給仕が運んできた軽食を咲の座るベンチの横に並べる。

「少しでも食べないと、倒れますよ。」
咲はあまり体が強くない。
幼い時はしょっちゅう熱を出していたことを玲は知っている。