「また徹夜ですか?」
「うーん。昨日の件が気になって、いろいろ聞き取りの結果を読んでたら眠れなくなっちゃって。」
真岸は化粧の下に隠しきれていない咲の疲れを最近は見抜けるようになった。

この3年、咲の体調は安定している。
でも時々、あの頃の戻ってしまうのではないかという危うい状況もあった。

つい無理をしてしまう咲。
その無理はいつだってほかの誰かのことを考えてのこと。

大きく体調を崩すことはなくても、いつも真岸は気にかけている。

それは咲の父も同じだと真岸は悟った。
咲が拒食症になったことを政信は今でも忘れたわけではない。

自ら命を投げ出そうとしたことも。
だからこそ忙しい中、スケジュールを調整して咲と一緒に食事をするようになったのだろう。