「駄目だ」

 仕事終わり、リビングで水族館に一緒に行かない? と誘った瞬間、開口一番に秋葉は言った。

 あちゃあ、やっぱりね。

「新商品の開発も完全に行き詰まっちまってるし、そんなことしてる場合じゃねえ」

 頭を抱え、ため息をつく秋葉。

「そっか、じゃあ、一人で行くね」

 私がチケットを引っ込めると、悠一さんが晩ご飯を持ってやってきた。

「いいじゃん、秋葉、一緒に行けば?」

 ニコニコとお味噌汁をテーブルの上に置く悠一さん。

「行けばって……新商品はどうすんだよ」

 不満そうな顔の秋葉に、悠一さんは微笑んだ。

「でもさ、夏休みが始まったら忙しくて遊びになんてそうそう行けないし、店の中で閉じこもっているより、外で何か見たほうがリフレッシュして良いアイディアが浮かぶかもよ?」

 悠一さんの言葉に、秋葉はうーんと唸った。

「――まあ、兄貴がらそう言うなら、一緒に行くか、水族館」

「本当?」

「ああ」

 やったあ。

 二人で水族館。少し緊張するけど、楽しみだな。