次の日。

 案の定、クラス内は秋葉の交際宣言の話題でもちきりだった。

 うわ、なんか教室に入りずらいな。

 私が教室に入るのを戸惑っていると、莉茉ちゃんが声をかけてくる。

「あっ、花帆、聞いたよー、秋葉くんのこと!」

「……その事なんだけど、ちょっと来て」

 私は莉茉ちゃんを廊下に引っ張って行った。

 キョロキョロと辺りを確認し、誰も聞いていないのを確認して打ち明ける。

「あれ、実は付き合ってるフリなの」

「えっ、じゃあ二人が付き合ってるっていうのはウソなの?」

 莉茉ちゃんはびっくりしたように目を見開いた。

「うん……っていうか、なんでびっくりしてるの?」

「だって、二人、最近仲良くなったし、てっきり本当に付き合うことになったのかと」

「そんなわけないじゃん。私と秋葉じゃ釣り合わないよ。秋葉の女の子避けだよ。バイトのこともごまかせるし」

「そうなんだ。でも花帆と秋葉くん、釣り合わないってことないんじゃない? 花帆だって可愛いって結構言われるじゃん」

「可愛いって……それ、小さいって意味でしょ」

 私はボソリと呟いた。

 確かに、私は可愛いって言われる事がある。

 だけど、それは小さいって意味で、顔が美人だというわけじゃない。

 赤ちゃんだとか子猫だとか、ぬいぐるみだとか、そういうのと同じくくり。

 女の子として魅力があるわけじゃないんだから。