「おはよう」

 朝起きると、秋葉が笑顔で出迎えてくれる。

「おーっす、バ花帆。今日は寝坊じゃないみたいだな」

「もう、そんなに毎日寝坊しないよ!」

 全く、秋葉ったら!

 私がむくれていると、秋葉が醤油を手渡してくる。

「はい、醤油」

「えっ?」

「目玉焼き、醤油派なんだろ?」

 あ。

 覚えててくれたんだ。

「うん、ありがと……」

 私はありがたく秋葉からお醤油を受け取った。

 二人でライバル店に偵察に行ってから数日。

 何となくだけど、最近、秋葉が心を開いてきたような気がする。

 本当は不良なんかじゃないって、秘密を打ち明けてくれたからかな?

 それとも、私のお店でのがんばりを認めてくれたのかな。

 どちらにせよ、なんだか嬉しいな。

「ほら、花帆、学校行くぞ」

 朝食が終わり、一緒に学校に行こうとしてふと気づく。

 まずいまずい、一緒に学校に行ったりなんかしたらみんなに怪しまれちゃう。

「ごめん。秋葉、先行ってて」

 私はあわてて手を振った

「? おう。行ってきまーす」

 よく分かってなさそうな秋葉の顔。

 はあ、秋葉は気楽でいいよね。