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京都の春を迎えていた。

「あっ、あった。三十九番。やったぁ」
待ち受けから兄の写真を切り取り、早くも二年となる。

今日は受験した短大の合格発表日。
我が家から少しばかり離れた大学。
ここは短大と共学の四年生の建物が併設。
両親に知られないように、受験していた。

「綺麗な花びら、キラキラと光ってる」
桜のはなびらが黒髪にひとひら舞ってくる。
突然に、目の前が開けてきた。
これで、両親から逃れる切符を手に出来る。
少しだけ、自由になれるだろうか?
神さま、ありがとう。久しぶりに素直な気持ちになっていた。