朝。学校についてから、私は急いで教室に向かうようにしている。

理由は……会いたくない人がいるから。

小走りで廊下を進んでいると、すれ違う人にぶつかってしまった。



「きゃっ……ご、ごめんなさい……!」



頭を下げて、逃げるように走る。



「今の誰?」

「うちの学年にあんな女子いたっけ?」

「あー、1組の委員長でしょ。超真面目で、いっつも首席の子じゃん」

「地味すぎて、存在感薄いけど……」



私の名前は玉井真綾(たまい まあや)。

どこにでもいる地味な女子高生。

趣味は勉強と読書。好きなものは甘いスイーツと猫。苦手なのは、目立つことと……。



「おーい、たま!」



……幼なじみの、岩尾くん。

今日も岩尾くんと会わないように急いで教室に向かったはずなのに、捕まってしまった。