多くの人の仕事が休みになる日曜日は、どこもかしこも人で賑わっている。特に祭りなどが開催されていれば、尚更だ。

「すごい人ね!」

「はぐれるといけないから、僕の手を掴んで」

目を輝かせるイヅナ・クリアウォーターは、ヴィンセント・レゴシに言われ、恐る恐る手を取る。人混みの中を手を繋いで歩くなど、まるで恋人同士みたいだわとイヅナは頬を赤く染めた。

イヅナとヴィンセントは今、建国記念日を祝うために開催された祭りに来ている。街中が華やかに飾られ、音楽隊が気分が明るくなっていくような曲を次々と演奏し、あちこちにおいしそうな食べ物が売られ、午後からはパレードも始まる。そんな祭りに多くの人が集まるのは、必然である。

「ヴィンセント、クレープ食べていい?見てたら食べたくなってきちゃったの」

「いいよ。僕もお腹空いてきちゃったし」

イヅナはチョコレートと生クリームたっぷりのクレープを、ヴィンセントはフルーツとバニラアイスのクレープを買い、邪魔にならないよう移動して食べる。