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セミの声も聞こえなくって、風が肌寒くなってきたころ。



今日は朝から雨がザーザーと音を立ててふっている。



もう梅雨の時期なのかな。



駅に着いて、広げていた傘をぱたんと閉じた。



いつものようにホームまで歩いていくと、ふいにベンチからぴょこんとはみ出た髪に目がとまる。



誰か、寝てる?



気になって、後ろから近づいてみた。



すると足音に反応してか、もぞもぞっと髪が動いた。



えっ、どうしよう!?
これじゃあ見てたのがバレちゃう……っ。



そう焦った時。